2016/10/25 21:32

初めまして、宮城県仙台市青葉区の豆腐専門店「兎豆屋」の安達圭介と申します。

 

私は以前はWEBディレクターとして会社に勤めていました。もともとモノづくりに興味があり、いつかは職人になって、その道をとことん極めてみるというのも面白いのではないか…と、考えていました。

 

そんな時、目にとまったのは、老舗のとうふ店『埼玉屋』の見習い職人募集の web ページ。まさに憧れの職人の世界があり、私の胸は高鳴りました。

 

しかし、そのとき僕は37歳で、結婚もしていたし、今さら単身で見習い修行なんて現実的じゃないよなぁ、とあきらめていたんです。

 

それでも一度食べてみたいと思い、埼玉屋のとうふを取り寄せてみることに。包丁を入れた瞬間にわかっちゃったんですよね。「あ、これ絶対うまい」って。一口で「職人への憧れ」は確信に変わりました。




37歳の見習い生は師匠のもとで2年間とうふを造り続け、自分の第二の人生を決めたとうふの造り方をからだに染み込ませていきました。

 

 サラリーマン時代は誰かの仕事を『できる』からやっていただけで、好きなことをやっていたわけではありませんでした。師匠に怒られることも、落ち込むこともあったけれど、自分の店をもちたい、おいしいとうふを造りたいという情熱の火が消えることはありませんでした。

 

あー、今日仕事行きたくないな、とか、そんなことは一切、思わないんです。毎日「おいしいとうふを造りたい!」って思ってました。その火に毎日心かき立てられ、日々の仕事にますますのめりこんでいく楽しさ。会社員として働いていた日々とは仕事に対しての意識がまったく違いました。



ふるさとの「ミヤギシロメ」はお前の好きにやれ、という師匠の下で、にがりの量や、風味の引き出し方、堅さなど、身につけた職人技術を駆使しながら自分の力でたどりついた味がこの兎豆屋のとうふです。

 

工場で造られ、求めやすい価格としてスーパーに並ぶとうふの味に、わたしたちの舌はすっかり慣れてしまっています。確かにスーパーに比べると安くはないかもしれない。だけど、こうしてていねいに作られた宮城という土地の大豆の味を知ると、そのすがすがしさと風味のまろやかさに、価値の意味を発見できるかもしれません。この機会にご賞味頂けましたら幸いです。